経営の核は「人」。社員とともに成長し、四国の未来に貢献する。
株式会社秦商事
代表取締役社長 秦 治
1975年生まれ。大学卒業後、1999年に大手タイヤメーカーに入社。品質保証部門の技術職として、問題発生時の迅速な対処や再発防止に尽力し、管理能力を磨く。海外現地法人への赴任も経験し、国内外で豊富な実績を積む。2010年、株式会社秦商事に入社。専務取締役として、M&Aによる事業エリアの拡大や事業統合、組織の風土改革に取り組む。2016年、代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
四国に根ざし、地域の暮らしと未来を支える専門商社。
当社は1946年の創業以来、70年以上にわたって四国の皆さまの暮らしを支える工業用資材や建築土木資材などを扱う専門商社として歩んできました。
本社を徳島県徳島市に構え、香川県高松市・愛媛県松山市に支店を展開。四国4県を商圏とし、地域に根ざした事業を展開しています。
主な取扱商材は「管工機材」「建築・土木資材」「住宅・設備機器」「工業用ゴム製品」で、近年は資材販売にとどまらず、それらを用いた工事事業にも領域を広げています。お客さまは建設会社、設備会社、メーカー、電力会社など多岐にわたります。
私自身は大学卒業後に大手タイヤメーカーへ入社し、国内工場での品質保証業務やアメリカ駐在を経験しました。
2010年に株式会社秦商事へ入社し、専務取締役として経営に参画。2016年に代表取締役社長に就任し、マネジメント体制の強化や人事制度の改定といった社内制度の改革を進めるとともに、M&AやDX推進にも注力して安定的な事業成長を目指してきました。
現在、事業は順調に成長しており、当社メンバーの一人ひとりが会社の変革を「自分事」として捉え、尽力していることに心から感謝しています。
当社の大きな強みは、数万種類・数万点にも及ぶ多種多様な商品を取り扱えることにあります。それぞれの商品について、用途や価格、納期、施工方法などを正確に把握し、お客さまのニーズに応じた最適な組み合わせを提案しています。
たとえば、「こういうことを実現したい」というご要望に対しては、図面から必要な商品を拾い出し、予算・納期・品質に合わせて商品を組み合わせるなど、課題解決型の提案を行っています。
また、四国全域をカバーする営業・物流体制を構築しており、お客さまのニーズにきめ細かく、タイムリーに対応できる点も当社の強みです。今後も「一歩先を想像できる商社」を目指し、丁寧・迅速なサービスの提供を通じて、お客さまの期待に応えていきます。
70年超の信頼を礎に、変化を恐れないチャレンジングな組織へ。
当社には70年を超える長い歴史があります。その歩みの中で培われてきたのは、お客さまに対して誠実に向き合う姿勢と、真面目で実直な社員たちの気質です。これこそが、当社にとって何よりの財産であると考えています。
私で三代目の社長となりますが、創業者の手記が今も残されており、創業者が個人と会社の信用、他者への感謝の気持ち、謙虚さを大切にしていたことが伝わり、それらが当社の風土として今も根付いています。
2010年に私が入社した当時のメンバーは皆、真面目に仕事に取り組んでいた一方で、老舗企業にありがちな変化を敬遠するような空気感と閉塞感もありました。
リーマンショック後の経済状況が悪い中、社内に漂う閉塞感を打ち破っていくには、真面目さや謙虚さという強みを活かしながらも、新しいことに挑戦できる風土を育てる必要があると強く感じました。
そこで、私がまず取り組んだのが風土改革でした。外部から来た私に対して、社員の反応はさまざまでしたが、新しいことにチャレンジしていく必要性について幾度となく語り合うことで、当時の幹部メンバーも少しずつその想いに賛同してくれるようになりました。
現在経営幹部として活躍している彼らが私の考えに賛同してくれて、彼らの部下や周囲の考え方を少しずつ変えていくことで、新しいチャレンジをするメンバーが増えていき、それが改革を後押ししてくれたと思っています。
具体的な取り組みとしては、まずはマネジメント層の形成と意識改革から着手しました。コンサルティング会社の力も借り、私も含めて当時の役職者全員でマネジメント研修を実施。「役職者とは、部下を育て、チームを導く存在である」という基本的な考え方を全員で共有するところからスタートしました。
最初は戸惑いもあったと思いますが、研修を重ねるうちに「人を育てる文化」が少しずつ根づいてきたと実感しています。
各営業部で毎月開催される営業会議では、若手・ベテランを問わず、活発に意見が交わされています。まだ道半ばですが、誰もが自由に意見を言い合える風通しの良いフラットな組織を目指して、今後も改革の歩みを止めず、取り組みを続けていきます。
四国全域のネットワークを構築し、事業を拡大。
当社は徳島県から事業をスタートし、現在では四国各県に事業ネットワークを広げています。
1971年には香川県に拠点を構え、2014年に高松営業所を新築移転。これを機に高松支店として再スタートを切りました。さらに2016年には、愛媛県に拠点を構えるタケダ株式会社をM&Aによりグループに迎え入れました。
四国の中で最も大きなマーケットである愛媛県に拠点を持つことは長年の経営課題でしたが、このM&Aによって名実ともに四国全域をカバーするネットワーク体制を構築できたと考えています。
その後、人事制度の統合や社内インフラの整備、社員間の交流促進などを進め、2019年にタケダ株式会社を吸収合併。株式会社秦商事の松山支店として新たなスタートを切りました。
実は、このM&Aを実行した当時は高松支店の新築移転という大きな投資を終えた直後で、当社にとって決して経営的に余裕のあるタイミングではありませんでした。
しかし、「この機会を逃せば、愛媛への進出はいつになるか分からない」と決断。譲渡元であるタケダ株式会社も後継者不在という課題を抱えていたため、双方にとって非常に意義のあるM&Aだったと考えています。
中核事業の深化と新規領域への挑戦により、売上100億円を目指す。
私たちの次なる目標は、2030年代に売上高100億円を達成することです。ただし、数字ありきの無理な成長を目指しているわけではありません。売上拡大はあくまで結果であり、本質的には四国エリアのお客さまに対して、より広く、より深く貢献できる企業を目指したいと考えています。
そのために、現在は二つの軸で事業成長に向けた取り組みを進めています。一つは、中核事業である「管工機材」「建築・土木資材」「住宅・設備機器」「工業用ゴム製品」の各分野において、四国内でのシェアをさらに高めることです。
四国全域に広がる当社のネットワークを最大限に活用し、これまで以上にきめ細やかなサービスの提供を目指します。
もう一つは、新規領域の強化です。具体的には、資材を提供するだけではなく、その資材を使った施工まで行うサービスを強化しています。
施工まで行うことでお客さまの利便性は大きく向上します。お客さまに安心してご依頼いただけるよう、施工体制の整備に注力していきます。
こうした事業成長を支えるためには、組織・インフラの両面における強化が不可欠です。人材採用はもちろんのこと、丁寧なサービスを持続的に提供していくために人材育成の重要性がこれまで以上に高まってきます。
また、当社は地域のインフラを支える企業として、持続可能な物流体制を構築する責任もあると考えています。これらの課題から目をそらすことなく、一つひとつに真正面から向き合いながら、会社として次のステージへと着実にステップアップしていきます。
社員の幸せを追求し、やりがいを持って働ける環境を構築する。
私が経営において最も大切にしているのは「人」です。当社で働くメンバーは会社にとって最も重要な財産であり、メンバー一人ひとりの成長なくして、当社の成長はあり得ません。
そして経営トップである私の務めは、当社メンバーとその家族の幸せを追求することに他なりません。だからこそ、メンバーが安心してやりがいを持って働き続けられる環境づくりに今後も全力で取り組んでいきます。
当社ではデジタル技術を活用した、社内業務の効率化を進めています。例えば、営業担当者は外出先からでも社用ノートPCを使って社内システムにアクセスして在庫確認や見積書作成が可能となっており、業務効率が大幅に改善。お客さまをお待たせする時間が短縮され、より提案活動に集中できるようになりました。
さらに、人事制度や年間休日の見直しも行っており、現在では直行直帰や在宅でのリモートワークも可能な環境を整備しています。
私たちがこれから新たに仲間としてお迎えしたいと考えているのは、まず「素直さ」や「謙虚さ」を持った方です。
新しい知識や周囲の意見を素直に吸収できる力は成長の大きな原動力になります。また、謙虚な姿勢を持つ方は先輩や同僚だけでなく、お客さまとも良好な関係を築けます。
そしてもうひとつ大切なのが「行動力」です。当社には異業種から転職してくる中途社員も多く、最初は分からないこともたくさんあると思います。
そんな中で活躍している方々に共通しているのは、失敗を恐れずに挑戦する行動力を持っているという点です。
中途採用で入社される皆さんには、ご自身のこれまでの経験や知見を存分に発揮していただき、当社に新しい風を吹き込んでくれることを大いに期待しています。そして将来的には、会社の経営を担う幹部として成長していただきたいとも思っています。
「自分の力で会社をさらに成長させたい」「事業を通じて地域に貢献したい」といった熱い想いを持った方と一緒に働ける日を心から楽しみにしています。