時代の変化を乗り越え、暮らしを支えるモノづくりで未来を拓く。
四国トーセロ株式会社
代表取締役社長 松尾 充記
大阪府出身。1988年、三井東圧化学株式会社(現:三井化学株式会社)に入社。三井化学東セロ株式会社(現:アールエム東セロ株式会社)にて、営業部長、新事業開発室長、開発研究センター長等を歴任。2024年、四国トーセロ株式会社の代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
四つの事業を通じて、身近な生活を支えるモノづくり。
当社は1957年にセロファン製造会社として設立されました。その後、時代の変化に合わせて事業転換を図り、現在に至ります。
当社は最終製品メーカーではないため、一般の消費者の方には馴染みが薄いかもしれませんが、皆さまの身近な生活を支えるモノづくりに取り組んでいます。
具体的には、食品包装用フィルム、電子材料・医療用の機能性フィルム、ロースハムやソーセージの製造に用いられるチューブ状の成形紙(ケーシング)などを製造しています。
現在はOPPフィルム、コートフィルム、ケーシング、PMMAビーズの4事業で構成されています。
このうちOPPフィルム事業とコートフィルム事業は親会社であるアールエム東セロ株式会社のグループ事業として展開しており、当社はその中で重要な生産拠点と位置付けられ、受託生産を担っています。
OPPフィルム事業ではポリプロピレンを原料とする二軸延伸フィルム(OPPフィルム)を製造しています。OPPフィルムは防湿性・耐水性に優れており、主に冷凍食品のパッケージなど、食品の包装用フィルムとして使用されています。
コートフィルム事業で製造しているのは、フィルムにコート剤を塗布した機能性フィルムなど。食品包装などに用いられるバリアコートフィルムや電子材料関連から医療用まで、幅広い用途で活用される離型コートフィルムなどを製造しています。
ケーシング事業とPMMAビーズ事業は当社の独自事業として展開しています。
ケーシング事業では、紙を主原料としたチューブ状の成形紙を製造しており、水分や燻煙の透過性が高いことからロースハムやソーセージ類の生産に用いられています。同事業は、当社が現在展開している中で、最も歴史の長い事業です。
PMMAビーズ事業では、フィルム同士の固着を防ぐアンチブロッキング剤や塗料の艶消し剤などに使用される微細なアクリル粒子を製造しています。コートフィルム事業で培った技術を活かして展開している事業です。
四国トーセロの三つの転換点。
当社の設立は1957年です。当時は「東邦セロファン株式会社」という社名で、セロファン成膜事業を展開していました。その後、三つの大きな転換点を経て、現在の四国トーセロに至ります。
最初の転換点は1986年です。それまでの中心事業であったセロファン事業からの撤退を決断し、プラスチックフィルム時代の到来を見据えてフィルムに機能を付与するコートフィルム事業を増強する方針に切り替えます。
この事業転換のタイミングで、1987年に三井化学グループの東セロ株式会社(現:アールエム東セロ株式会社)の子会社となりました。
二つ目の転換点は2000年です。親会社の東セロが「徳島トーセロフィルム株式会社」を設立し、OPPフィルム事業へ参入。当時は、当社と徳島トーセロフィルムの2社体制で事業を展開していましたが、2006年に両社を合併。現在の4事業体制の原型ができあがりました。
そして最後の転換点が2024年です。これまで業界内で競い合ってきた三井化学東セロ株式会社とレンゴー株式会社の子会社であるサン・トックス株式会社が統合し、「アールエム東セロ株式会社」が誕生。当社はアールエム東セロの子会社となり、レンゴーグループの一員となったのです。
国内トップを競っていた企業同士が統合したことで、かつてのライバルがグループの一員となりました。それぞれが長年蓄積してきたノウハウを共有できるようになり、各事業でシナジーが生まれつつあります。
例えばOPPフィルム事業では、互いの技術やノウハウを共有する技術交流が始まっています。また、当社の独自事業であるケーシング事業においても、国内で同様の事業を手がける企業が同じグループになりました。
独自事業としてさらなる成長を目指す上で、ノウハウやナレッジを共有できることは、大変心強く感じています。
高品質な製品の安定供給に向けて。
当社の企業理念は「品質と供給の安定、更にお客様の要望に応え続ける企業を目指す」です。今後はグループ内で生まれたシナジーを活かし、安定的な事業成長を目指します。
OPPフィルム事業・コートフィルム事業では、受託生産がメインとなるため、引き続き高品質な製品の「安定供給」に取り組んでいきます。
安定供給を実現する上では、製造設備を安定稼働させ、さらに生産性を高めていく必要があり、技術の継承と革新が不可欠です。
私たちはこれを重要なテーマと捉え、技術部門が中心となって計画的な設備投資や改善活動にチーム一丸で取り組んでいます。
また、生産拠点としての独自のコストダウン施策を進めており、グループ全体の利益創出に貢献していきたいと考えています。
加えて、ケーシング事業・PMMAビーズ事業は独自事業として高い成長を目指しています。顧客の要望に真摯に向き合い、製品改良に挑戦することで新たな価値を創出していきたいと考えています。
ワークライフバランスとチャレンジの両立。
当社は大きなグループの子会社であるため、挑戦的な仕事は少ないというイメージを抱いている方もいるかもしれません。しかし、前述の通り設備投資やコストダウン、製品改良など取り組むべき課題は多く、挑戦の機会に溢れています。
また、親会社と連携して新製品を開発していく機会もあるでしょう。そうした機会に、ぜひ積極的にチャレンジしてほしいと思います。
私自身のキャリアを振り返っても、チャレンジの連続でした。新規素材のマーケティングを任されたかと思えば、新製品を海外で営業するという経験もしました。もちろん、うまくいかないことも多々ありました。
しかし、これまでの経験で「失敗した」と感じたのは、決まって困難から逃げたり、ごまかそうとしたりした時です。
キャリアにおいてはさまざまな困難に直面しますが、その困難は自分自身が乗り越えられる範囲でしか訪れないと、私は信じています。
ですから、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢そのものを称賛する、そんな組織をつくっていきたいと考えています。
仕事におけるチャレンジは大切ですが、それは社員の安全と健康という土台があってこそです。当社は働き方改革も積極的に進めており、ワークライフバランスのとれた働き方ができます。
残業時間は徐々に減少しており、月平均10.4時間です。また、年間休日は122日、有給休暇の取得率は90%(2024年度実績)と高く、バランスの取れた働き方が可能です。
なお、当社はアットホームな社風と言われることが多いのですが、これはチームワークの良さの表れだと考えています。互いに助け合いながら仕事を進める風土が根付いており、働きやすい環境が整っています。
また、徳島県内に1社1工場のため、転勤がありません。仕事では挑戦を続けながら、プライベートや家族との時間も大切にしたい方にとって、魅力的な環境だと自負しています。
徳島と共に65年余り、地域に根ざした未来へ。
当社は、1957年に「東邦セロファン株式会社」として徳島県で創業して以来、一貫してこの地で事業を続けてきました。まさに、地元・徳島に根差した企業です。
「地域社会との共存共栄」は、私たちが非常に大切にしている考え方です。
徳島といえば阿波おどりですが、当社も「トーセロ連」として毎年参加しています。私も昨年初めて参加し、その熱気と一体感に大変感動しました。
当社の連は歴史も古く、企業連の中でも規模は大きい方ではないかと思います。社員が一丸となって練習に励み、本番の桟敷で一体となって踊りを披露する経験は本当に素晴らしいものです。
ただ、企業としての知名度向上という点では、まだ努力の余地があると感じています。地域の皆さまに「四国トーセロ」という企業をより深く知っていただき、地域にとって不可欠な存在となることを目指しています。
そのためにも、阿波おどりのような地域貢献活動はもちろん、それ以外の取り組みについても積極的に検討しているところです。この徳島の地で、これからも地域社会に貢献し続ける企業でありたいです。
最後に、今後のさらなる事業成長に向けて新たな人材を積極的に募集しています。当社の4事業を一層強化していくためには、新たな視点から課題解決へ共に取り組む仲間が必要です。
特に、チームワークを重んじ、周囲を巻き込みながら主体的に業務を推進できる方を求めています。
仕事を進める上で一人で成し遂げられることには限りがあります。だからこそ、自ら率先してチームを牽引し、現場に深く入り込み、情熱をもって事業に取り組める方と共に成長していきたいと考えています。